前川リポートは、冒頭に日本の経常収支の黒字はGNPに対して1985年は3.6%に達したことをのべました。
そして、「これは日本経済の運営にとっても、あるいは世界の調和的な発展にとっても非常に大きな阻害要因である」としました。
この黒字を国際的に調和のとれる水準にまで小さくしなけれぽならないとうたい、いくつかの提案を行なっています。
その柱になったのは、内需拡大、市場の開放、海外直接投資の促進などです。
いずれにしても、今日の日本経済が抱える課題は、いろいろな不均衡を是正するということですが、最も核心的な課題は、国際収支の不均衡を是正することにあります。
なぜ日本はその経常収支の黒字を小さくしなければいけないか、もう少し詳しくみますと、いろいろの理由があります。
しかし、その前に、「経常収支の黒字は小さくする必要はない」、あるいは「小さくする必要があるにしても、日本がそのための努力をする必要はなく、アメリカがその責任を負わなければいけない」という議論が日本内部はもちろん、欧米のなかにもありますので、この点についてのべておきたいと思います。
まず、日本の経常収支を小さくしようとする努力は見当違いであるという批判をとりあげてみたいと思います。
そのひとつは、貿易の黒字は日本人の努力・勤勉の報酬である、というナイーブな見方であります。