こういうことから、アメリカの貿易収支の赤字が非常に大きくなったのであり、その原因をずっと探っていくと、アメリカの低貯蓄(高消費)と財政赤字に突き当たります。
したがって、貿易の不均衡を是正するには、アメリカが財政の赤字を小さくしたり、貯蓄率を引き上げなければならないのであって、日米間の国際収支の不均衡の是正、あるいは日本の経常収支黒字削減は、日本の努力によっては期待できないという議論であります。
しかし、私は、このような日本の貿易黒字は日本人の努力に対する正当な報酬であるとする議論、資本取引の赤字で相殺されているから問題はないという議論。
あるいは、仮に問題があるにしても、その責任はアメリカにあるのだという議論のいずれについても、(それぞれになにがしかの正当性はあるとしても)完全に納得するわけにはいきません。
それらの議論は、現実の世界では通用しないものです。
それはなぜかというと、第1に、貿易の黒字が大きいということは、じつは相手国の雇用問題とも関連しているからです。
日本の貿易の黒素大きいのは、相手国からみれば自分たちの製品を買ってくれない、あるいは自分たちの製品と競合するような輸入がふえることを意味しています。
それは結局は自分たちの国の失業を大きくしているということになりますから、そういう「失業の輸出」になるような貿易の黒字はやめるべきだというのが相手国の主張なのです。
私はある程度その点は(たとえそれが多分に感情論であるにしても)、日本も考えなければいけないと思います。