もうひとつ日本人の立場からいえば、貿易の黒字があるのに、その黒字をもっぱらアメリカの債券を買うことに使われるのはわりきれない、という感情が一部にあります。
さきほどのべたように、日本は経済力は大きくなったが、生活の質は十分ではない。
住居など外国人からウサギ小屋といわれるほど見劣りのする住居に住んでいる。
もし海外に流出する資金があるならば、それをいくぶんかでも国内の生活の質の向上のために使ってもいいではないか・・・
という感情論が当然あります。
私は、そこに日本の貿易収支の黒字を小さくしながら、同時に日本人の生活の質を高めるという経済戦略が出てくる可能性と必然性があると思います。
今日、貿易の黒字を小さくするというのは、なにも海外からいわれるからそうするのではなく、日本人自らが日本人のためにしなければならない、という理屈がそこにあるのです。
そこで、いったいどうしたらこの貿易の黒字が適正な水準になっていくかということですが、前川リポートに基本的なことがのべられています。
この基本的な考え方はもちろん支持します。
しかし残念ながら、前川リポートには計量的な分析や計量的な目標が提示されていないと思うのです。